2つの連邦巡回区控訴裁判所判決において、億ドル単位の損害賠償が無効と判断
連邦巡回区控訴裁判所は、2025年6月の2件の判決において、特許侵害について陪審員が下した2億1850万ドルと3億ドルの賠償金を認める陪審評決を拒否した。1件はクレームが特許適格性を有さないとして破棄となり、もう1件は侵害に関する陪審員評決フォームに関して不適切な質問があったため取り消しとなったものである。
1つ目は、United Services Automobile Association v. PNC Bank N.A.訴訟である。USAA社は過去数年間、複数の銀行に対してリモート小切手預金技術に関する特許権行使を熱心に展開していたが、同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、USAA社のクレームに抽象的な概念が含まれるため、米国特許法第101条に基づく特許適格性を欠くと判断し、PNC Bank社に対する2億1850万ドルの損害賠償を否定した。
第1審であるテキサス州東部連邦地方裁判所は、USAA社のクレームはAlice Corp. v. CLS Bank Int’l訴訟で示された抽象的な概念に該当せず、特許適格を満たすと判断し、USAA社勝訴のサマリー・ジャッジメントを出した。PNC Bank社は控訴し、当該サマリー・ジャッジメントは誤りであり、クレームが抽象的な概念であるため米国特許法第 101条により無効である、と主張した。連邦巡回区控訴裁判所は、同社の主張を受け入れ、2025年6月12日に2つの関連する判決を出し、第1審の特許適格性に関するサマリー・ジャッジメントを破棄した。同控訴裁判所は、さらに一歩進み、USAA社のクレームには、Alice判決に基づく発明概念を伴わない抽象的な概念が含まれるため、特許適格性がない、と判断した。
同控訴裁判所では、Alice判決の2段階分析が用いられた。まず、ステップ1の分析で、「クレームは、携帯型モバイルデバイスを使用して小切手を預金するという抽象的な概念を対象としている」と判断された。これは、クレーム要素に、汎用ハードウェアを使用して小切手を預金する際の既知の手順が記載されているのみで、必要なクレームの手順を実施する方法を定めておらず、発明の課題解決方法を具体的に記載していない、結果のみを記載するクレームである、という理由によるものである。
ステップ2の分析では、クレームには、抽象的なクレームを特許適格のある出願とするための発明概念が含まれていない、と結論付けられた。すなわち、USAA社の、当該特許が小切手のデジタル画像から正確な検出と情報抽出を行うという技術的問題を解決した、という主張は排斥され、当該クレームは汎用モバイルデバイスを使用して小切手を預金する際のルーティンや従来型のアクティビティを使用しているに過ぎない、と判断された。したがって、特許として保護されるような特許適格性を有しなかったことから、特許侵害による損害賠償の評決は維持されなかった。
2つ目は、Optus Cellular Technology, LLC v. Apple Inc.訴訟である。同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所による特許侵害に関する陪審員評決フォーム上の質問が、陪審員全員一致の決定を受けるApple社の権利を侵害したとして、特許侵害と損害賠償の判決を破棄し、再審理を命じた。第1審では、当事者は主張のあった5つの特許それぞれについて別々の質問を要求したにもかかわらず、同地方裁判所による質問には、「Apple社が、本件特許のいずれかを侵害したか」という単一の質問のみが含まれており、その質問への肯定的な回答により3億ドルの損害賠償判決に至った。
Apple社は控訴し、5つの特許に対する単一の質問により、5つの特許のいずれもが陪審員全員一致で侵害と認定されない場合であっても、陪審員は肯定的な回答を誤って要求されるものであった、と主張した。同控訴裁判所が指摘したように、各陪審員が少なくとも1つの特許のうち1つのクレームが侵害されたと確信した場合、陪審員は侵害に関する質問に「はい」と回答することが求められていた。これは、たとえ各陪審員がそれぞれ異なる特許が侵害されたと確信した場合、すなわち、本来であれば、いずれの特許についても、陪審員全員一致で侵害ありとの決定が下されたとはみなされない場合においても、同様の回答が求められていたことを意味する。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
同控訴裁判所では、Alice判決の2段階分析が用いられた。まず、ステップ1の分析で、「クレームは、携帯型モバイルデバイスを使用して小切手を預金するという抽象的な概念を対象としている」と判断された。これは、クレーム要素に、汎用ハードウェアを使用して小切手を預金する際の既知の手順が記載されているのみで、必要なクレームの手順を実施する方法を定めておらず、発明の課題解決方法を具体的に記載していない、結果のみを記載するクレームである、という理由によるものである。
ステップ2の分析では、クレームには、抽象的なクレームを特許適格のある出願とするための発明概念が含まれていない、と結論付けられた。すなわち、USAA社の、当該特許が小切手のデジタル画像から正確な検出と情報抽出を行うという技術的問題を解決した、という主張は排斥され、当該クレームは汎用モバイルデバイスを使用して小切手を預金する際のルーティンや従来型のアクティビティを使用しているに過ぎない、と判断された。したがって、特許として保護されるような特許適格性を有しなかったことから、特許侵害による損害賠償の評決は維持されなかった。
2つ目は、Optus Cellular Technology, LLC v. Apple Inc.訴訟である。同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所による特許侵害に関する陪審員評決フォーム上の質問が、陪審員全員一致の決定を受けるApple社の権利を侵害したとして、特許侵害と損害賠償の判決を破棄し、再審理を命じた。第1審では、当事者は主張のあった5つの特許それぞれについて別々の質問を要求したにもかかわらず、同地方裁判所による質問には、「Apple社が、本件特許のいずれかを侵害したか」という単一の質問のみが含まれており、その質問への肯定的な回答により3億ドルの損害賠償判決に至った。
Apple社は控訴し、5つの特許に対する単一の質問により、5つの特許のいずれもが陪審員全員一致で侵害と認定されない場合であっても、陪審員は肯定的な回答を誤って要求されるものであった、と主張した。同控訴裁判所が指摘したように、各陪審員が少なくとも1つの特許のうち1つのクレームが侵害されたと確信した場合、陪審員は侵害に関する質問に「はい」と回答することが求められていた。これは、たとえ各陪審員がそれぞれ異なる特許が侵害されたと確信した場合、すなわち、本来であれば、いずれの特許についても、陪審員全員一致で侵害ありとの決定が下されたとはみなされない場合においても、同様の回答が求められていたことを意味する。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
関連弁護士
関連分野
© 2026 Jenner & Block LLP. Attorney Advertising. Jenner & Block LLP is an Illinois Limited Liability Partnership including professional corporations. This publication, presentation, or event is not intended to provide legal advice but to provide information on legal matters and/or firm news of interest to our clients and colleagues. Readers or attendees should seek specific legal advice before taking any action with respect to matters mentioned in this publication or at this event. The attorney responsible for this communication is Brent E. Kidwell, Jenner & Block LLP, 353 N. Clark Street, Chicago, IL 60654-3456. Prior results do not guarantee a similar outcome. Jenner & Block London LLP, an affiliate of Jenner & Block LLP, is a limited liability partnership established under the laws of the State of Delaware, USA and is authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with SRA number 615729. Information regarding the data we collect and the rights you have over your data can be found in our Privacy Notice. For further inquiries, please contact dataprotection@jenner.com.
連邦巡回区控訴裁判所は、2025年6月の2件の判決において、特許侵害について陪審員が下した2億1850万ドルと3億ドルの賠償金を認める陪審評決を拒否した。1件はクレームが特許適格性を有さないとして破棄となり、もう1件は侵害に関する陪審員評決フォームに関して不適切な質問があったため取り消しとなったものである。
1つ目は、United Services Automobile Association v. PNC Bank N.A.訴訟である。USAA社は過去数年間、複数の銀行に対してリモート小切手預金技術に関する特許権行使を熱心に展開していたが、同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、USAA社のクレームに抽象的な概念が含まれるため、米国特許法第101条に基づく特許適格性を欠くと判断し、PNC Bank社に対する2億1850万ドルの損害賠償を否定した。
第1審であるテキサス州東部連邦地方裁判所は、USAA社のクレームはAlice Corp. v. CLS Bank Int’l訴訟で示された抽象的な概念に該当せず、特許適格を満たすと判断し、USAA社勝訴のサマリー・ジャッジメントを出した。PNC Bank社は控訴し、当該サマリー・ジャッジメントは誤りであり、クレームが抽象的な概念であるため米国特許法第 101条により無効である、と主張した。連邦巡回区控訴裁判所は、同社の主張を受け入れ、2025年6月12日に2つの関連する判決を出し、第1審の特許適格性に関するサマリー・ジャッジメントを破棄した。同控訴裁判所は、さらに一歩進み、USAA社のクレームには、Alice判決に基づく発明概念を伴わない抽象的な概念が含まれるため、特許適格性がない、と判断した。
同控訴裁判所では、Alice判決の2段階分析が用いられた。まず、ステップ1の分析で、「クレームは、携帯型モバイルデバイスを使用して小切手を預金するという抽象的な概念を対象としている」と判断された。これは、クレーム要素に、汎用ハードウェアを使用して小切手を預金する際の既知の手順が記載されているのみで、必要なクレームの手順を実施する方法を定めておらず、発明の課題解決方法を具体的に記載していない、結果のみを記載するクレームである、という理由によるものである。
ステップ2の分析では、クレームには、抽象的なクレームを特許適格のある出願とするための発明概念が含まれていない、と結論付けられた。すなわち、USAA社の、当該特許が小切手のデジタル画像から正確な検出と情報抽出を行うという技術的問題を解決した、という主張は排斥され、当該クレームは汎用モバイルデバイスを使用して小切手を預金する際のルーティンや従来型のアクティビティを使用しているに過ぎない、と判断された。したがって、特許として保護されるような特許適格性を有しなかったことから、特許侵害による損害賠償の評決は維持されなかった。
2つ目は、Optus Cellular Technology, LLC v. Apple Inc.訴訟である。同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所による特許侵害に関する陪審員評決フォーム上の質問が、陪審員全員一致の決定を受けるApple社の権利を侵害したとして、特許侵害と損害賠償の判決を破棄し、再審理を命じた。第1審では、当事者は主張のあった5つの特許それぞれについて別々の質問を要求したにもかかわらず、同地方裁判所による質問には、「Apple社が、本件特許のいずれかを侵害したか」という単一の質問のみが含まれており、その質問への肯定的な回答により3億ドルの損害賠償判決に至った。
Apple社は控訴し、5つの特許に対する単一の質問により、5つの特許のいずれもが陪審員全員一致で侵害と認定されない場合であっても、陪審員は肯定的な回答を誤って要求されるものであった、と主張した。同控訴裁判所が指摘したように、各陪審員が少なくとも1つの特許のうち1つのクレームが侵害されたと確信した場合、陪審員は侵害に関する質問に「はい」と回答することが求められていた。これは、たとえ各陪審員がそれぞれ異なる特許が侵害されたと確信した場合、すなわち、本来であれば、いずれの特許についても、陪審員全員一致で侵害ありとの決定が下されたとはみなされない場合においても、同様の回答が求められていたことを意味する。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
同控訴裁判所では、Alice判決の2段階分析が用いられた。まず、ステップ1の分析で、「クレームは、携帯型モバイルデバイスを使用して小切手を預金するという抽象的な概念を対象としている」と判断された。これは、クレーム要素に、汎用ハードウェアを使用して小切手を預金する際の既知の手順が記載されているのみで、必要なクレームの手順を実施する方法を定めておらず、発明の課題解決方法を具体的に記載していない、結果のみを記載するクレームである、という理由によるものである。
ステップ2の分析では、クレームには、抽象的なクレームを特許適格のある出願とするための発明概念が含まれていない、と結論付けられた。すなわち、USAA社の、当該特許が小切手のデジタル画像から正確な検出と情報抽出を行うという技術的問題を解決した、という主張は排斥され、当該クレームは汎用モバイルデバイスを使用して小切手を預金する際のルーティンや従来型のアクティビティを使用しているに過ぎない、と判断された。したがって、特許として保護されるような特許適格性を有しなかったことから、特許侵害による損害賠償の評決は維持されなかった。
2つ目は、Optus Cellular Technology, LLC v. Apple Inc.訴訟である。同訴訟において、連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所による特許侵害に関する陪審員評決フォーム上の質問が、陪審員全員一致の決定を受けるApple社の権利を侵害したとして、特許侵害と損害賠償の判決を破棄し、再審理を命じた。第1審では、当事者は主張のあった5つの特許それぞれについて別々の質問を要求したにもかかわらず、同地方裁判所による質問には、「Apple社が、本件特許のいずれかを侵害したか」という単一の質問のみが含まれており、その質問への肯定的な回答により3億ドルの損害賠償判決に至った。
Apple社は控訴し、5つの特許に対する単一の質問により、5つの特許のいずれもが陪審員全員一致で侵害と認定されない場合であっても、陪審員は肯定的な回答を誤って要求されるものであった、と主張した。同控訴裁判所が指摘したように、各陪審員が少なくとも1つの特許のうち1つのクレームが侵害されたと確信した場合、陪審員は侵害に関する質問に「はい」と回答することが求められていた。これは、たとえ各陪審員がそれぞれ異なる特許が侵害されたと確信した場合、すなわち、本来であれば、いずれの特許についても、陪審員全員一致で侵害ありとの決定が下されたとはみなされない場合においても、同様の回答が求められていたことを意味する。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
関連弁護士
関連分野
© 2026 Jenner & Block LLP. Attorney Advertising. Jenner & Block LLP is an Illinois Limited Liability Partnership including professional corporations. This publication, presentation, or event is not intended to provide legal advice but to provide information on legal matters and/or firm news of interest to our clients and colleagues. Readers or attendees should seek specific legal advice before taking any action with respect to matters mentioned in this publication or at this event. The attorney responsible for this communication is Brent E. Kidwell, Jenner & Block LLP, 353 N. Clark Street, Chicago, IL 60654-3456. Prior results do not guarantee a similar outcome. Jenner & Block London LLP, an affiliate of Jenner & Block LLP, is a limited liability partnership established under the laws of the State of Delaware, USA and is authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with SRA number 615729. Information regarding the data we collect and the rights you have over your data can be found in our Privacy Notice. For further inquiries, please contact dataprotection@jenner.com.
ニュース
Podcasts
Partner Laurel Loomis Rimon Discusses Fintech Enforcement, Debanking, and Regulatory Risk on Fintech Layer Cake Podcast
Partner Laurel Loomis Rimon was featured on the Fintech Layer Cake podcast, where she discussed how fintech enforcement and prosecution actually work in practice, and what exposes fintechs and banks to regulatory risk.
July 15, 2026
Publications
Supreme Court Clarifies Scope of Private Rights of Action Under the Investment Company Act, Private Equity Law Report
Partners Charles Riely, Todd C. Toral, and Martin Glass authored a guest article for Private Equity Law Report examining the US Supreme Court's June 11, 2026, ruling on the scope of private rights of action under the Investment Company Act of 1940.
July 14, 2026
Publications
Emily Loeb Discusses Congressional Oversight Preparedness in Bloomberg Law
Partner Emily Loeb, co-chair of Jenner & Block's Congressional Investigations Practice, spoke with Bloomberg Law article about how companies can prepare for potential oversight exposure ahead of this fall's midterm elections.
July 7, 2026
Publications
In New York Law Journal, The True Lender Doctrine and the OppFi Decision
Partners Jeremy Creelan, Michael Ross, Megan Poetzel, and Laurel Loomis Rimon, and Associate Molly Oberstein-Allen authored an article for the New York Law Journal examining the "True Lender" doctrine in light of a May 2026 California decision that provides the most detailed judicial framework to date for evaluating bank-nonbank lending partnerships.
July 1, 2026
Event
Partner Michael Vernick to Speak at NACUA's 2026 Annual Conference
On July 1, Partner Michael Vernick will speak on a panel at the National Association of College and University Attorneys (NACUA) 2026 Annual Conference in Nashville.
July 1, 2026