連邦巡回区控訴裁判所、審理中の特許権放棄の範囲を拡大
Focus Products Group International, LLC v. Kartri Sales Co., Inc., No. 2023-1446(連邦巡回控訴裁判所、2025年9月30日)において、連邦巡回区控訴裁判所は、2件の特許侵害の略式判決(サマリージャッジメント)を破棄し、3件目については差し戻した。連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所が、特許侵害の判断に際して特許の出願経過における放棄(Disavowal)を適切に認定しなかったため、特許権の範囲(Claim)の解釈と侵害分析の適用の両方において誤りがあった、と判断した。この放棄は、連邦地方裁判所が特許侵害と判断した製品の構成を特許権の文言が広くカバーしていたため、極めて重要なものであった。

特許権の範囲を狭めるには、特許の出願経過に「明確かつ明白な(Clean and unmistakable)」放棄、すなわち、特許権の用語が完全かつ通常の意味で広範に解釈されるという強力な推定を覆すような放棄が記録されている必要がある。実務上は、出願人の主張が、先行技術と審査官による否認を乗り越えて(先行技術と区別して)認められた場合であっても、この基準を満たすことは困難であった。Focus Products訴訟で問題とされた製品は、上端が平坦なシャワーカーテンリング(画像参照)であった。連邦巡回区控訴裁判所は、特許権が異なる種類のもの(突起部のあるリングと、「上端が平坦な(Flat upper edge)」リング)を対象としている、という審査官の複数の陳述を根拠とした。出願人は、審査官による定義に異議を唱えることなく、上端が平坦なリングを対象とする申請を取り下げることを選択した。そして、審査官は、特許許可通知においても、「上端が平坦な」リングは出願人の特許権申請の範囲外であり、必要であれば異議を申し立てることができる、と明記していた。
特許権の放棄に関する判例法では、通常、出願人自らが放棄しなければ特許権に含まれるはずの対象を放棄することが必要とされており、審査官の陳述に対して出願人が反論しなかったことのみに基づいて特許権の放棄を認める判例は非難の的とされてきた。しかし、Focus Products訴訟で、連邦巡回区控訴裁判所は、上端が平坦なリングを除外する審査官の判断に対して出願人が協力する形で手続きを進めたことから、出願人はかかる除外を明確に受け入れていた、と判断した。
審査官による特許権の範囲の縮小に同意したことにより、特許権者は、通常の意味において特許権の文言そのものを解釈すればカバーされるとしても、後に訴訟において上端が平坦なリングが特許権の範囲内であることを主張することは許されなかった。
この連邦巡回区控訴裁判所の判決は、2つの点で重要といえる。第1に、出願人が審査中に特許権の範囲を明白に放棄しなくても、出願人が審査官の判断に異議を唱えず、その判断と符合する行動をとっていたことを理由に、出願人による特許権の範囲の放棄があったものと判断されうることを確認した点である。
第2に、実務上は、出願経過に先行技術と区別する議論が含まれていても、その基準から放棄と判断することは通常困難であり多くの場合それが明確かつ明白ではないことを理由に、連邦地方裁判所は、特許権の範囲の放棄は成立しない、と判断してきたが、この判決は、連邦巡回区控訴裁判所がそのような従来の放棄に関する判断基準を緩和したことを意味するものといえる。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
特許権の放棄に関する判例法では、通常、出願人自らが放棄しなければ特許権に含まれるはずの対象を放棄することが必要とされており、審査官の陳述に対して出願人が反論しなかったことのみに基づいて特許権の放棄を認める判例は非難の的とされてきた。しかし、Focus Products訴訟で、連邦巡回区控訴裁判所は、上端が平坦なリングを除外する審査官の判断に対して出願人が協力する形で手続きを進めたことから、出願人はかかる除外を明確に受け入れていた、と判断した。
審査官による特許権の範囲の縮小に同意したことにより、特許権者は、通常の意味において特許権の文言そのものを解釈すればカバーされるとしても、後に訴訟において上端が平坦なリングが特許権の範囲内であることを主張することは許されなかった。
この連邦巡回区控訴裁判所の判決は、2つの点で重要といえる。第1に、出願人が審査中に特許権の範囲を明白に放棄しなくても、出願人が審査官の判断に異議を唱えず、その判断と符合する行動をとっていたことを理由に、出願人による特許権の範囲の放棄があったものと判断されうることを確認した点である。
第2に、実務上は、出願経過に先行技術と区別する議論が含まれていても、その基準から放棄と判断することは通常困難であり多くの場合それが明確かつ明白ではないことを理由に、連邦地方裁判所は、特許権の範囲の放棄は成立しない、と判断してきたが、この判決は、連邦巡回区控訴裁判所がそのような従来の放棄に関する判断基準を緩和したことを意味するものといえる。
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Focus Products Group International, LLC v. Kartri Sales Co., Inc., No. 2023-1446(連邦巡回控訴裁判所、2025年9月30日)において、連邦巡回区控訴裁判所は、2件の特許侵害の略式判決(サマリージャッジメント)を破棄し、3件目については差し戻した。連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所が、特許侵害の判断に際して特許の出願経過における放棄(Disavowal)を適切に認定しなかったため、特許権の範囲(Claim)の解釈と侵害分析の適用の両方において誤りがあった、と判断した。この放棄は、連邦地方裁判所が特許侵害と判断した製品の構成を特許権の文言が広くカバーしていたため、極めて重要なものであった。

特許権の範囲を狭めるには、特許の出願経過に「明確かつ明白な(Clean and unmistakable)」放棄、すなわち、特許権の用語が完全かつ通常の意味で広範に解釈されるという強力な推定を覆すような放棄が記録されている必要がある。実務上は、出願人の主張が、先行技術と審査官による否認を乗り越えて(先行技術と区別して)認められた場合であっても、この基準を満たすことは困難であった。Focus Products訴訟で問題とされた製品は、上端が平坦なシャワーカーテンリング(画像参照)であった。連邦巡回区控訴裁判所は、特許権が異なる種類のもの(突起部のあるリングと、「上端が平坦な(Flat upper edge)」リング)を対象としている、という審査官の複数の陳述を根拠とした。出願人は、審査官による定義に異議を唱えることなく、上端が平坦なリングを対象とする申請を取り下げることを選択した。そして、審査官は、特許許可通知においても、「上端が平坦な」リングは出願人の特許権申請の範囲外であり、必要であれば異議を申し立てることができる、と明記していた。
特許権の放棄に関する判例法では、通常、出願人自らが放棄しなければ特許権に含まれるはずの対象を放棄することが必要とされており、審査官の陳述に対して出願人が反論しなかったことのみに基づいて特許権の放棄を認める判例は非難の的とされてきた。しかし、Focus Products訴訟で、連邦巡回区控訴裁判所は、上端が平坦なリングを除外する審査官の判断に対して出願人が協力する形で手続きを進めたことから、出願人はかかる除外を明確に受け入れていた、と判断した。
審査官による特許権の範囲の縮小に同意したことにより、特許権者は、通常の意味において特許権の文言そのものを解釈すればカバーされるとしても、後に訴訟において上端が平坦なリングが特許権の範囲内であることを主張することは許されなかった。
この連邦巡回区控訴裁判所の判決は、2つの点で重要といえる。第1に、出願人が審査中に特許権の範囲を明白に放棄しなくても、出願人が審査官の判断に異議を唱えず、その判断と符合する行動をとっていたことを理由に、出願人による特許権の範囲の放棄があったものと判断されうることを確認した点である。
第2に、実務上は、出願経過に先行技術と区別する議論が含まれていても、その基準から放棄と判断することは通常困難であり多くの場合それが明確かつ明白ではないことを理由に、連邦地方裁判所は、特許権の範囲の放棄は成立しない、と判断してきたが、この判決は、連邦巡回区控訴裁判所がそのような従来の放棄に関する判断基準を緩和したことを意味するものといえる。
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特許権の放棄に関する判例法では、通常、出願人自らが放棄しなければ特許権に含まれるはずの対象を放棄することが必要とされており、審査官の陳述に対して出願人が反論しなかったことのみに基づいて特許権の放棄を認める判例は非難の的とされてきた。しかし、Focus Products訴訟で、連邦巡回区控訴裁判所は、上端が平坦なリングを除外する審査官の判断に対して出願人が協力する形で手続きを進めたことから、出願人はかかる除外を明確に受け入れていた、と判断した。
審査官による特許権の範囲の縮小に同意したことにより、特許権者は、通常の意味において特許権の文言そのものを解釈すればカバーされるとしても、後に訴訟において上端が平坦なリングが特許権の範囲内であることを主張することは許されなかった。
この連邦巡回区控訴裁判所の判決は、2つの点で重要といえる。第1に、出願人が審査中に特許権の範囲を明白に放棄しなくても、出願人が審査官の判断に異議を唱えず、その判断と符合する行動をとっていたことを理由に、出願人による特許権の範囲の放棄があったものと判断されうることを確認した点である。
第2に、実務上は、出願経過に先行技術と区別する議論が含まれていても、その基準から放棄と判断することは通常困難であり多くの場合それが明確かつ明白ではないことを理由に、連邦地方裁判所は、特許権の範囲の放棄は成立しない、と判断してきたが、この判決は、連邦巡回区控訴裁判所がそのような従来の放棄に関する判断基準を緩和したことを意味するものといえる。
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