PREVAIL法が上院へ送付:特許無効の申立てへの影響の可能性
2024年11月21日、上院司法委員会において11対10の僅差でPREVAIL法が可決され、上院に送付後審議が行われることとなった。PREVAIL法(正式名称:経済的に重要な米国のイノベーションリーダーシップの促進および尊重に関する法律(the Promoting and Respecting Economically Vital American Innovation Leadership Act))は、特許審判部(PTAB)の規則と手続を改正し、当事者系レビュー(Inter Partes Review)やその他の特許の無効を申し立てる手続きを制限することを目的とするものである。
個人や小規模事業体の発明家によるイノベーション保護の目的推進のため、同法律の主要条項により、既に発行された特許を無効にするための手続をより困難にすることを意図した複数の改正がなされていることに、企業及び特許権者は留意すべきである。本改正には、(1) PTABにおける特許無効の申立ての機会を減らすために請求人適格を導入する、(2) 同一特許に対する複数の特許無効の申立ての提出を制限する、(3) 証明の負担を、現在の「証拠の優越性」という基準から、連邦裁判所で求められる「明白かつ説得力のある」という証明基準に引き上げる、等が含まれている。
この法案に対しては、PTABの審査を不当に制限し、特許無効の申立てを困難にし、競争を阻害するものである、といった主張がされている。特に、一部の上院議員は、PTABへの特許無効の申立ての制限は、医薬品特許への無効の申立てを妨げ、医薬品の価格全体を上昇させる可能性があると懸念している。しかし、医薬品および生物学的特許は2023年のPTABへの特許無効の申立ての7%を占めるに過ぎず、また、これらの特許無効の申立ては連邦裁判所に移行する可能性が高いことを考えると、この懸念は杞憂かもしれない。
さらに、請求人適格の要件は、特許侵害で訴えられた者、または、その恐れのある者に限り請求人となるよう制限するものであるが、PTABへの無効の申立ての85%は他の裁判所で係争中の侵害訴訟と併せて提起されていること、また、訴訟が提起される前に特許侵害の恐れがある旨の通知が送付されるのが大半であることから、この要件が無効の申立ての総数に大きな影響を与える可能性は低い。
さらに、PREVAIL法の目的は小規模の企業や発明者を支援することであるにもかかわらず、この法案は、むしろ、特許を取得してライセンスを求めたり、特許侵害訴訟(法が保護しようとした小規模事業者に対するものも含む)を提起したりする不実施主体(Non-Practicing Entities(NPE)。イノベーションを伴わない組織であり、小規模発明者の類型に当てはまってしまう可能性がある。)を保護するという、意図しない結果をもたらす可能性がある。
例えば、上院司法委員会の審議中、Cruz上院議員(テキサス州)は、小規模事業者(従業員500人以下で年間総収益2400万ドル以下の個人発明者または企業)が、PTAB手続から「オプトアウト」(opt out)することができる修正案を提案した。この修正案は否決されたが、一部の上院議員は小規模事業者を保護するための「オプトアウト」の概念を概ね支持した。しかし、「オプトアウト」規定は、小規模企業を保護するのではなく、特許保有企業の中で従業員数や収益が最小限であるNPEを保護するものとなる可能性がある。NPEは、PTABの審査から「オプトアウト」しながら侵害訴訟を継続し、その結果、NPEは訴訟や交渉において優位に立つことになる。
PREVAIL法の最終的な形と、その意図する目的を達成できるかどうかは現時点では不明であるが、今後上院での審議の進展を注視していく必要がある。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
この法案に対しては、PTABの審査を不当に制限し、特許無効の申立てを困難にし、競争を阻害するものである、といった主張がされている。特に、一部の上院議員は、PTABへの特許無効の申立ての制限は、医薬品特許への無効の申立てを妨げ、医薬品の価格全体を上昇させる可能性があると懸念している。しかし、医薬品および生物学的特許は2023年のPTABへの特許無効の申立ての7%を占めるに過ぎず、また、これらの特許無効の申立ては連邦裁判所に移行する可能性が高いことを考えると、この懸念は杞憂かもしれない。
さらに、請求人適格の要件は、特許侵害で訴えられた者、または、その恐れのある者に限り請求人となるよう制限するものであるが、PTABへの無効の申立ての85%は他の裁判所で係争中の侵害訴訟と併せて提起されていること、また、訴訟が提起される前に特許侵害の恐れがある旨の通知が送付されるのが大半であることから、この要件が無効の申立ての総数に大きな影響を与える可能性は低い。
さらに、PREVAIL法の目的は小規模の企業や発明者を支援することであるにもかかわらず、この法案は、むしろ、特許を取得してライセンスを求めたり、特許侵害訴訟(法が保護しようとした小規模事業者に対するものも含む)を提起したりする不実施主体(Non-Practicing Entities(NPE)。イノベーションを伴わない組織であり、小規模発明者の類型に当てはまってしまう可能性がある。)を保護するという、意図しない結果をもたらす可能性がある。
例えば、上院司法委員会の審議中、Cruz上院議員(テキサス州)は、小規模事業者(従業員500人以下で年間総収益2400万ドル以下の個人発明者または企業)が、PTAB手続から「オプトアウト」(opt out)することができる修正案を提案した。この修正案は否決されたが、一部の上院議員は小規模事業者を保護するための「オプトアウト」の概念を概ね支持した。しかし、「オプトアウト」規定は、小規模企業を保護するのではなく、特許保有企業の中で従業員数や収益が最小限であるNPEを保護するものとなる可能性がある。NPEは、PTABの審査から「オプトアウト」しながら侵害訴訟を継続し、その結果、NPEは訴訟や交渉において優位に立つことになる。
PREVAIL法の最終的な形と、その意図する目的を達成できるかどうかは現時点では不明であるが、今後上院での審議の進展を注視していく必要がある。
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© 2026 Jenner & Block LLP. Attorney Advertising. Jenner & Block LLP is an Illinois Limited Liability Partnership including professional corporations. This publication, presentation, or event is not intended to provide legal advice but to provide information on legal matters and/or firm news of interest to our clients and colleagues. Readers or attendees should seek specific legal advice before taking any action with respect to matters mentioned in this publication or at this event. The attorney responsible for this communication is Brent E. Kidwell, Jenner & Block LLP, 353 N. Clark Street, Chicago, IL 60654-3456. Prior results do not guarantee a similar outcome. Jenner & Block London LLP, an affiliate of Jenner & Block LLP, is a limited liability partnership established under the laws of the State of Delaware, USA and is authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with SRA number 615729. Information regarding the data we collect and the rights you have over your data can be found in our Privacy Notice. For further inquiries, please contact dataprotection@jenner.com.
2024年11月21日、上院司法委員会において11対10の僅差でPREVAIL法が可決され、上院に送付後審議が行われることとなった。PREVAIL法(正式名称:経済的に重要な米国のイノベーションリーダーシップの促進および尊重に関する法律(the Promoting and Respecting Economically Vital American Innovation Leadership Act))は、特許審判部(PTAB)の規則と手続を改正し、当事者系レビュー(Inter Partes Review)やその他の特許の無効を申し立てる手続きを制限することを目的とするものである。
個人や小規模事業体の発明家によるイノベーション保護の目的推進のため、同法律の主要条項により、既に発行された特許を無効にするための手続をより困難にすることを意図した複数の改正がなされていることに、企業及び特許権者は留意すべきである。本改正には、(1) PTABにおける特許無効の申立ての機会を減らすために請求人適格を導入する、(2) 同一特許に対する複数の特許無効の申立ての提出を制限する、(3) 証明の負担を、現在の「証拠の優越性」という基準から、連邦裁判所で求められる「明白かつ説得力のある」という証明基準に引き上げる、等が含まれている。
この法案に対しては、PTABの審査を不当に制限し、特許無効の申立てを困難にし、競争を阻害するものである、といった主張がされている。特に、一部の上院議員は、PTABへの特許無効の申立ての制限は、医薬品特許への無効の申立てを妨げ、医薬品の価格全体を上昇させる可能性があると懸念している。しかし、医薬品および生物学的特許は2023年のPTABへの特許無効の申立ての7%を占めるに過ぎず、また、これらの特許無効の申立ては連邦裁判所に移行する可能性が高いことを考えると、この懸念は杞憂かもしれない。
さらに、請求人適格の要件は、特許侵害で訴えられた者、または、その恐れのある者に限り請求人となるよう制限するものであるが、PTABへの無効の申立ての85%は他の裁判所で係争中の侵害訴訟と併せて提起されていること、また、訴訟が提起される前に特許侵害の恐れがある旨の通知が送付されるのが大半であることから、この要件が無効の申立ての総数に大きな影響を与える可能性は低い。
さらに、PREVAIL法の目的は小規模の企業や発明者を支援することであるにもかかわらず、この法案は、むしろ、特許を取得してライセンスを求めたり、特許侵害訴訟(法が保護しようとした小規模事業者に対するものも含む)を提起したりする不実施主体(Non-Practicing Entities(NPE)。イノベーションを伴わない組織であり、小規模発明者の類型に当てはまってしまう可能性がある。)を保護するという、意図しない結果をもたらす可能性がある。
例えば、上院司法委員会の審議中、Cruz上院議員(テキサス州)は、小規模事業者(従業員500人以下で年間総収益2400万ドル以下の個人発明者または企業)が、PTAB手続から「オプトアウト」(opt out)することができる修正案を提案した。この修正案は否決されたが、一部の上院議員は小規模事業者を保護するための「オプトアウト」の概念を概ね支持した。しかし、「オプトアウト」規定は、小規模企業を保護するのではなく、特許保有企業の中で従業員数や収益が最小限であるNPEを保護するものとなる可能性がある。NPEは、PTABの審査から「オプトアウト」しながら侵害訴訟を継続し、その結果、NPEは訴訟や交渉において優位に立つことになる。
PREVAIL法の最終的な形と、その意図する目的を達成できるかどうかは現時点では不明であるが、今後上院での審議の進展を注視していく必要がある。
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この法案に対しては、PTABの審査を不当に制限し、特許無効の申立てを困難にし、競争を阻害するものである、といった主張がされている。特に、一部の上院議員は、PTABへの特許無効の申立ての制限は、医薬品特許への無効の申立てを妨げ、医薬品の価格全体を上昇させる可能性があると懸念している。しかし、医薬品および生物学的特許は2023年のPTABへの特許無効の申立ての7%を占めるに過ぎず、また、これらの特許無効の申立ては連邦裁判所に移行する可能性が高いことを考えると、この懸念は杞憂かもしれない。
さらに、請求人適格の要件は、特許侵害で訴えられた者、または、その恐れのある者に限り請求人となるよう制限するものであるが、PTABへの無効の申立ての85%は他の裁判所で係争中の侵害訴訟と併せて提起されていること、また、訴訟が提起される前に特許侵害の恐れがある旨の通知が送付されるのが大半であることから、この要件が無効の申立ての総数に大きな影響を与える可能性は低い。
さらに、PREVAIL法の目的は小規模の企業や発明者を支援することであるにもかかわらず、この法案は、むしろ、特許を取得してライセンスを求めたり、特許侵害訴訟(法が保護しようとした小規模事業者に対するものも含む)を提起したりする不実施主体(Non-Practicing Entities(NPE)。イノベーションを伴わない組織であり、小規模発明者の類型に当てはまってしまう可能性がある。)を保護するという、意図しない結果をもたらす可能性がある。
例えば、上院司法委員会の審議中、Cruz上院議員(テキサス州)は、小規模事業者(従業員500人以下で年間総収益2400万ドル以下の個人発明者または企業)が、PTAB手続から「オプトアウト」(opt out)することができる修正案を提案した。この修正案は否決されたが、一部の上院議員は小規模事業者を保護するための「オプトアウト」の概念を概ね支持した。しかし、「オプトアウト」規定は、小規模企業を保護するのではなく、特許保有企業の中で従業員数や収益が最小限であるNPEを保護するものとなる可能性がある。NPEは、PTABの審査から「オプトアウト」しながら侵害訴訟を継続し、その結果、NPEは訴訟や交渉において優位に立つことになる。
PREVAIL法の最終的な形と、その意図する目的を達成できるかどうかは現時点では不明であるが、今後上院での審議の進展を注視していく必要がある。
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