当事者系レビュー(IPR)による無効の判断は、同一特許内の争点とされていないクレーム(請求項)の主張を付帯的に禁ずるものではないとした判決
2025年2月10日付の判決において、連邦巡回区控訴裁判所は、当事者系レビュー(IPR)の手続で一部のクレームが無効とされた場合であっても、連邦地方裁判所の侵害訴訟における同一特許内の他のクレームに基づく主張に、Collateral Estoppel(付帯禁反言)の法理を適用することを否定した。
Kroy IP Holdings, LLC v. Groupon, Inc. において、Kroy社は、同社の特許第6,061,066号の13個のクレームをGroupon社が侵害している、と主張した。同特許には115個のクレームが含まれていた。Groupon社は21個のクレームを争う2件のIPRの申立てを行い、特許審判部(PTAB)は21個のクレーム全てを無効と判断した。しかし、Groupon社のIPR申立て期限(侵害訴訟の訴状提出から1年)が経過した後、Kroy社はIPRで争点とならなかった他のクレームの侵害主張を追加する修正訴状を提出した。
これに対し、Groupon社は、新たに主張されたクレームは、IPRで無効とされたクレームと実質的に類似しているため、Kroy社はこれらの主張をすることが付帯的に禁じられている(Collateral Estoppelが適用される)、と主張し、同クレームに基づく請求の却下を申し立てた。デラウェア州連邦地方裁判所はこれに同意し、Groupon社の申立てを認めた。同裁判所は、新たに主張されたクレームはPTABで無効とされた特許請求の範囲と実質的に異ならないため、無効性の問題は既にIPRで判断されている、と理由付けた。
連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所の訴訟における立証責任では、IPRとは異なりより高度な法的基準が要求されるため、Collateral Estoppelは適用されない、と判断し、連邦地方裁判所の判断を破棄した。連邦地方裁判所において無効性を証明するためには「明白かつ説得力のある」証拠を必要とする一方、IPRでは、より緩やかな「証拠の優越性」基準が用いられる。
この判決により、侵害訴訟を提起され、IPRの申立てを行った企業は、今後は戦略を練り直す必要がある。同様の主張がすでに無効とされている場合、実際のところ連邦地方裁判所においても新たに主張されたクレームは無効と判断される可能性が高いが、Collateral Estoppelに依拠した却下の申立てはできない。
無効の判断を得るにはより長期間を要し、Discovery(証拠開示)やSummary judgment(略式判決)の申立てが必要となる可能性があるため、結果として、特許侵害訴訟における被告側のコストは増加する可能性がある。特許権者は、少なくとも和解を求める目的で、IPRの申立てがなされれば無効になり得るが争点となっていないクレームについても、連邦地方裁判所で主張することは必至である。特許の無効を求める側は、(多数のクレームを有する特許については厄介ではあるが)IPR手続において対象とするクレームの数を増やさざるを得ない可能性があり、また、連邦地方裁判所においてさらなる無効主張に直面する可能性がある。いずれにしても、特許侵害訴訟の被告側の企業にとってはコストが増加することになる。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
これに対し、Groupon社は、新たに主張されたクレームは、IPRで無効とされたクレームと実質的に類似しているため、Kroy社はこれらの主張をすることが付帯的に禁じられている(Collateral Estoppelが適用される)、と主張し、同クレームに基づく請求の却下を申し立てた。デラウェア州連邦地方裁判所はこれに同意し、Groupon社の申立てを認めた。同裁判所は、新たに主張されたクレームはPTABで無効とされた特許請求の範囲と実質的に異ならないため、無効性の問題は既にIPRで判断されている、と理由付けた。
連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所の訴訟における立証責任では、IPRとは異なりより高度な法的基準が要求されるため、Collateral Estoppelは適用されない、と判断し、連邦地方裁判所の判断を破棄した。連邦地方裁判所において無効性を証明するためには「明白かつ説得力のある」証拠を必要とする一方、IPRでは、より緩やかな「証拠の優越性」基準が用いられる。
この判決により、侵害訴訟を提起され、IPRの申立てを行った企業は、今後は戦略を練り直す必要がある。同様の主張がすでに無効とされている場合、実際のところ連邦地方裁判所においても新たに主張されたクレームは無効と判断される可能性が高いが、Collateral Estoppelに依拠した却下の申立てはできない。
無効の判断を得るにはより長期間を要し、Discovery(証拠開示)やSummary judgment(略式判決)の申立てが必要となる可能性があるため、結果として、特許侵害訴訟における被告側のコストは増加する可能性がある。特許権者は、少なくとも和解を求める目的で、IPRの申立てがなされれば無効になり得るが争点となっていないクレームについても、連邦地方裁判所で主張することは必至である。特許の無効を求める側は、(多数のクレームを有する特許については厄介ではあるが)IPR手続において対象とするクレームの数を増やさざるを得ない可能性があり、また、連邦地方裁判所においてさらなる無効主張に直面する可能性がある。いずれにしても、特許侵害訴訟の被告側の企業にとってはコストが増加することになる。
この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。
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2025年2月10日付の判決において、連邦巡回区控訴裁判所は、当事者系レビュー(IPR)の手続で一部のクレームが無効とされた場合であっても、連邦地方裁判所の侵害訴訟における同一特許内の他のクレームに基づく主張に、Collateral Estoppel(付帯禁反言)の法理を適用することを否定した。
Kroy IP Holdings, LLC v. Groupon, Inc. において、Kroy社は、同社の特許第6,061,066号の13個のクレームをGroupon社が侵害している、と主張した。同特許には115個のクレームが含まれていた。Groupon社は21個のクレームを争う2件のIPRの申立てを行い、特許審判部(PTAB)は21個のクレーム全てを無効と判断した。しかし、Groupon社のIPR申立て期限(侵害訴訟の訴状提出から1年)が経過した後、Kroy社はIPRで争点とならなかった他のクレームの侵害主張を追加する修正訴状を提出した。
これに対し、Groupon社は、新たに主張されたクレームは、IPRで無効とされたクレームと実質的に類似しているため、Kroy社はこれらの主張をすることが付帯的に禁じられている(Collateral Estoppelが適用される)、と主張し、同クレームに基づく請求の却下を申し立てた。デラウェア州連邦地方裁判所はこれに同意し、Groupon社の申立てを認めた。同裁判所は、新たに主張されたクレームはPTABで無効とされた特許請求の範囲と実質的に異ならないため、無効性の問題は既にIPRで判断されている、と理由付けた。
連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所の訴訟における立証責任では、IPRとは異なりより高度な法的基準が要求されるため、Collateral Estoppelは適用されない、と判断し、連邦地方裁判所の判断を破棄した。連邦地方裁判所において無効性を証明するためには「明白かつ説得力のある」証拠を必要とする一方、IPRでは、より緩やかな「証拠の優越性」基準が用いられる。
この判決により、侵害訴訟を提起され、IPRの申立てを行った企業は、今後は戦略を練り直す必要がある。同様の主張がすでに無効とされている場合、実際のところ連邦地方裁判所においても新たに主張されたクレームは無効と判断される可能性が高いが、Collateral Estoppelに依拠した却下の申立てはできない。
無効の判断を得るにはより長期間を要し、Discovery(証拠開示)やSummary judgment(略式判決)の申立てが必要となる可能性があるため、結果として、特許侵害訴訟における被告側のコストは増加する可能性がある。特許権者は、少なくとも和解を求める目的で、IPRの申立てがなされれば無効になり得るが争点となっていないクレームについても、連邦地方裁判所で主張することは必至である。特許の無効を求める側は、(多数のクレームを有する特許については厄介ではあるが)IPR手続において対象とするクレームの数を増やさざるを得ない可能性があり、また、連邦地方裁判所においてさらなる無効主張に直面する可能性がある。いずれにしても、特許侵害訴訟の被告側の企業にとってはコストが増加することになる。
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これに対し、Groupon社は、新たに主張されたクレームは、IPRで無効とされたクレームと実質的に類似しているため、Kroy社はこれらの主張をすることが付帯的に禁じられている(Collateral Estoppelが適用される)、と主張し、同クレームに基づく請求の却下を申し立てた。デラウェア州連邦地方裁判所はこれに同意し、Groupon社の申立てを認めた。同裁判所は、新たに主張されたクレームはPTABで無効とされた特許請求の範囲と実質的に異ならないため、無効性の問題は既にIPRで判断されている、と理由付けた。
連邦巡回区控訴裁判所は、連邦地方裁判所の訴訟における立証責任では、IPRとは異なりより高度な法的基準が要求されるため、Collateral Estoppelは適用されない、と判断し、連邦地方裁判所の判断を破棄した。連邦地方裁判所において無効性を証明するためには「明白かつ説得力のある」証拠を必要とする一方、IPRでは、より緩やかな「証拠の優越性」基準が用いられる。
この判決により、侵害訴訟を提起され、IPRの申立てを行った企業は、今後は戦略を練り直す必要がある。同様の主張がすでに無効とされている場合、実際のところ連邦地方裁判所においても新たに主張されたクレームは無効と判断される可能性が高いが、Collateral Estoppelに依拠した却下の申立てはできない。
無効の判断を得るにはより長期間を要し、Discovery(証拠開示)やSummary judgment(略式判決)の申立てが必要となる可能性があるため、結果として、特許侵害訴訟における被告側のコストは増加する可能性がある。特許権者は、少なくとも和解を求める目的で、IPRの申立てがなされれば無効になり得るが争点となっていないクレームについても、連邦地方裁判所で主張することは必至である。特許の無効を求める側は、(多数のクレームを有する特許については厄介ではあるが)IPR手続において対象とするクレームの数を増やさざるを得ない可能性があり、また、連邦地方裁判所においてさらなる無効主張に直面する可能性がある。いずれにしても、特許侵害訴訟の被告側の企業にとってはコストが増加することになる。
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