「企業コンプライアンス・プログラムの評価」に関するDOJのガイダンスの改訂と新しい報酬クローバック・パイロット・プログラムについての考察

2023年3月3日(金)、米国司法省(DOJ)刑事局から、「企業コンプライアンス・プログラムの評価 」に関するガイダンスの改訂が公表された。改訂版では、企業が従業員の不祥事をどのように管理しているかなどの検察官が考慮すべき追加要素や、通信データの保持を規律する企業方針が盛り込まれた。また、DOJから、刑事局における今後3年間の「報酬インセンティブとクローバックに関するパイロット・プログラム」も公表された。

危機管理の重視

コンプライアンス・ガイダンスおよびパイロット・プログラムの変更は、「企業犯罪との闘いを進める」というDOJの取り組みの一環として、202332日に発表された。DOJの新しいガイダンスは、報酬クローバック・プログラムを奨励するとともに、「直接的かつ具体的な金銭的インセンティブ」を奨励することで、コンプライアンスの取り組みを強化する行動を促進することを目的としている。

本ガイダンスでは、コンプライアンス・プログラムがコンプライアンスを奨励するインセンティブ、あるいは、コンプライアンス違反を思いとどまらせるインセンティブを確立しているかどうかを判断する際に、検察官が様々な要素を考慮することができること、「報酬制度の設計と実施が、コンプライアンス文化を醸成する上で重要な役割を果たす」ことが明確にされている。

本ガイダンスでは、企業の「報酬と危機管理のスキームが前向きなコンプライアンス文化を示しているかどうか」を評価する際、検察官は以下の5つの要素を考慮すべきであると指摘されている。

  • 人事プロセス
  • 懲戒処分
  • 適用の一貫性
  • 経済的インセンティブ・システム
  • 効果

新しいクローバック・パイロット・プログラムの実施

DOJ刑事局次長Kenneth Polite氏は、同局の新しい「報酬インセンティブとクローバックに関するパイロット・プログラム」を発表した。今後3年間適用される本プログラムでは、刑事局による犯罪捜査の対象となった企業は、その解決の一環として、コンプライアンス・プログラムに報酬関連の基準を採用することが求められる。さらに、実際に不正行為に関連する報酬の取り戻し(クローバック)を求めた企業は、刑事罰の金額が減額される資格を得ることになる。

進化するコミュニケーション手法のモニタリング

「企業コンプライアンス・プログラムの評価」のガイダンスの改訂版では、個人用デバイス、コミュニケーション・プラットフォーム、メッセージアプリの使用を管理する企業方針、メカニズム、手順をDOJがどのように評価するかについて言及されている。具体的には、企業のコミュニケーションポリシーは「企業のリスクプロファイルと特定のビジネスニーズに合わせて調整されるべき」であり、ビジネス関連のデータが保存されることが保証される必要がある、と定められている。

さらに、本ガイダンスでは、刑事局が、企業に対し、捜査中に通信データを収集・保存するための強固で包括的な方針と手続を導入することを期待していることが明確にされている。具体的には、検察当局は、企業とその従業員がどのような電子通信手段を使用しているか、また、企業が「情報を管理・保存するためにどのような仕組みを導入しているか」を検討しなければならない、とされている。

DOJがコンプライアンス・プログラムの新しい評価要素をどのように導入し、新しいパイロット・プログラムをどのように実施するかはまだわからないが、一見すると、報酬のクローバックを新たに強調することで、企業はDOJからの評価を得ることと難しい雇用訴訟の回避を求めることの間で緊張関係に置かれる可能性がある。

この記事は英文の記事の要約版となります。また、この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。

© 2026 Jenner & Block LLP. Attorney Advertising. Jenner & Block LLP is an Illinois Limited Liability Partnership including professional corporations. This publication, presentation, or event is not intended to provide legal advice but to provide information on legal matters and/or firm news of interest to our clients and colleagues. Readers or attendees should seek specific legal advice before taking any action with respect to matters mentioned in this publication or at this event. The attorney responsible for this communication is Brent E. Kidwell, Jenner & Block LLP, 353 N. Clark Street, Chicago, IL 60654-3456. Prior results do not guarantee a similar outcome. Jenner & Block London LLP, an affiliate of Jenner & Block LLP, is a limited liability partnership established under the laws of the State of Delaware, USA and is authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with SRA number 615729. Information regarding the data we collect and the rights you have over your data can be found in our Privacy Notice. For further inquiries, please contact dataprotection@jenner.com.

「企業コンプライアンス・プログラムの評価」に関するDOJのガイダンスの改訂と新しい報酬クローバック・パイロット・プログラムについての考察

2023年3月3日(金)、米国司法省(DOJ)刑事局から、「企業コンプライアンス・プログラムの評価 」に関するガイダンスの改訂が公表された。改訂版では、企業が従業員の不祥事をどのように管理しているかなどの検察官が考慮すべき追加要素や、通信データの保持を規律する企業方針が盛り込まれた。また、DOJから、刑事局における今後3年間の「報酬インセンティブとクローバックに関するパイロット・プログラム」も公表された。

危機管理の重視

コンプライアンス・ガイダンスおよびパイロット・プログラムの変更は、「企業犯罪との闘いを進める」というDOJの取り組みの一環として、202332日に発表された。DOJの新しいガイダンスは、報酬クローバック・プログラムを奨励するとともに、「直接的かつ具体的な金銭的インセンティブ」を奨励することで、コンプライアンスの取り組みを強化する行動を促進することを目的としている。

本ガイダンスでは、コンプライアンス・プログラムがコンプライアンスを奨励するインセンティブ、あるいは、コンプライアンス違反を思いとどまらせるインセンティブを確立しているかどうかを判断する際に、検察官が様々な要素を考慮することができること、「報酬制度の設計と実施が、コンプライアンス文化を醸成する上で重要な役割を果たす」ことが明確にされている。

本ガイダンスでは、企業の「報酬と危機管理のスキームが前向きなコンプライアンス文化を示しているかどうか」を評価する際、検察官は以下の5つの要素を考慮すべきであると指摘されている。

  • 人事プロセス
  • 懲戒処分
  • 適用の一貫性
  • 経済的インセンティブ・システム
  • 効果

新しいクローバック・パイロット・プログラムの実施

DOJ刑事局次長Kenneth Polite氏は、同局の新しい「報酬インセンティブとクローバックに関するパイロット・プログラム」を発表した。今後3年間適用される本プログラムでは、刑事局による犯罪捜査の対象となった企業は、その解決の一環として、コンプライアンス・プログラムに報酬関連の基準を採用することが求められる。さらに、実際に不正行為に関連する報酬の取り戻し(クローバック)を求めた企業は、刑事罰の金額が減額される資格を得ることになる。

進化するコミュニケーション手法のモニタリング

「企業コンプライアンス・プログラムの評価」のガイダンスの改訂版では、個人用デバイス、コミュニケーション・プラットフォーム、メッセージアプリの使用を管理する企業方針、メカニズム、手順をDOJがどのように評価するかについて言及されている。具体的には、企業のコミュニケーションポリシーは「企業のリスクプロファイルと特定のビジネスニーズに合わせて調整されるべき」であり、ビジネス関連のデータが保存されることが保証される必要がある、と定められている。

さらに、本ガイダンスでは、刑事局が、企業に対し、捜査中に通信データを収集・保存するための強固で包括的な方針と手続を導入することを期待していることが明確にされている。具体的には、検察当局は、企業とその従業員がどのような電子通信手段を使用しているか、また、企業が「情報を管理・保存するためにどのような仕組みを導入しているか」を検討しなければならない、とされている。

DOJがコンプライアンス・プログラムの新しい評価要素をどのように導入し、新しいパイロット・プログラムをどのように実施するかはまだわからないが、一見すると、報酬のクローバックを新たに強調することで、企業はDOJからの評価を得ることと難しい雇用訴訟の回避を求めることの間で緊張関係に置かれる可能性がある。

この記事は英文の記事の要約版となります。また、この記事はJenner & Blockニュースレターに掲載されています。

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